皮膚の構造とはたらき-皮膚を知ってかゆみを治す-

皮膚は一番上の表皮、その下の真皮、皮下組織の三層からできています。そして、からだ全体を覆っているだけでなく、生きていく上で欠かせない、いくつものはたらきがあるのが皮膚です。
各組織が故障すると、いろいろな皮膚の症状になってあらわれます。皮膚を構成する各組織がそれぞれ正しくはたらいて、全体としてからだを守るのに役立っているのです。

皮膚の構造

表皮

角層

層の間に挟まっているセラミドをはじめとする脂質と一緒になって、体内の水分が蒸発し過ぎないように、また外から異物が侵入しないようバリア(障壁)の役割をしています。ここに白癬菌が寄生した疾患が水虫です。白癬菌が深く侵入すると白血球との戦いが起こり、炎症のためかゆくなります。また、表皮が角層と真皮の間の摩擦でこわされてできるのがマメ、毛穴に皮脂がたまってアクネ菌が繁殖し、角層がフタをした状態がニキビです。

角化細胞

分化しながら上部へ移動し、積み重なって使い捨ての層である角層をつくります。

角層細胞

角化細胞のなれの果てで、アカになってはがれ落ちます。

ランゲルハンス細胞

異物や細菌が侵入しないよう、見張っています。

メラニン細胞

ほかの細胞を紫外線から守るために、メラニン色素を作り紫外線を吸収しますが、このメラニン色素が沈着すると、シミやソバカスになります。また、メラニン細胞が集まってできたものがホクロです。ホクロのうち直径6mm以上で形が非対称のものは専門医に診てもらうことをおすすめします。

真皮

知覚神経

温、冷、触、痛み、かゆみなどを感じるセンサーです。

膠原線維(コラーゲン線維)

表皮を保持するための骨組みとして役立ちます。

弾力線維

コラーゲン線維の束をまとめて皮膚にハリを与えます。

汗腺

汗を表面に出して体温を調節しながら、体を守る免疫グロブリンなどの分泌や、老廃物を捨てる役目も果たします。

皮下組織

皮下脂肪

エネルギーの供給や保温だけでなく、打撃などの機械的ショックをやわらげ、筋肉や臓器を守ります。

皮膚あれこれ

爪は皮膚の角質が変化したもの。根元の細胞から絶えず新しく作られ、前へと押し出されて約3カ月でできあがります。爪は指先を保護し、指先の力のコントロールにも役立っています。

指紋

指紋は一生変わりません。胎内ですでにできていて、傷つけても元に戻り、消すことができません。指先の感覚を鋭くし、物をつかむための滑り止めにもなるといわれます。

毛髪

体を保護して体温調節も行う毛髪も、爪と同様、皮膚の角質が変化したものです。根元で毎日成長し、一定の長さになると成長が止まって抜け落ちます。頭のように保護を必要とするところほど、密集しているともされます。

表皮の厚さ

表皮の厚さは場所によって違います。まぶたが一番うすく、額が0.1mm、手のひらが1mm、足の裏で2mm程度です。

皮膚表面積

皮膚の表面積は大人で約1.6~1.8平方メートル、つまりたたみ1畳分です。重さは約3~5kgで体重のほぼ8%といわれます。やけどなどで3分の1を失うと、命の危険につながります。

皮膚の色

皮膚の色が人種や人によって違うのは、基底層の細胞が作っているメラニン色素の量が違うためです。作られたメラニン色素は少しずつ表面近くに押しやられ、見た目にも日焼けした色が見えるようになり、約4週間でアカになってはがれ落ちます。このメラニン色素が表皮に残ると、シミ、ソバカスになります。

ツノ

サイなどに生えているツノは表皮が隆起し、爪のように角化したものです。骨の芯はありませんが、何度も再生し、死ぬまで伸びつづけます。

「かゆみ」の正体

人間は見る、聞く、におう、さわる、味わうという五感のほかにも、皮膚感覚やバランスを保つための平衡感覚などを持っていますが、これらの感覚は、生体が安全を確保したり、獲物を捕らえるのに役立っています。
「かゆみ」は皮膚感覚のひとつで、生体に危険が及ばない程度の弱い刺激に反応して起こる、いわゆる「かきたくなる感覚」です。

皮膚が刺激を受けてから、かゆい部分をかくまでの流れ

  1. 温熱、寒冷、圧力、摩擦、紫外線、化学物質、アレルゲンなどの刺激を受ける。
  2. 肥満細胞から放たれたヒスタミンが、知覚神経の先端にある受容体(外界からの刺激を受け取る働きをする器)にくっつく。※肥満細胞はヒスタミンを作ってたくわえている細胞、ヒスタミンは最も重要な「かゆみ」の原因物質。
  3. 知覚神経が脊髄を通じて、その情報を大脳に伝達する。
  4. 脳が「かゆい!!」と訴える。
  5. 大脳から筋肉に指令され、かゆい部分をかこうとする。

「かゆみ」はこんなときに起こる

からだの部分的なかゆみ-異物刺激や炎症が局所に生じてかゆくなる

乾燥皮膚

お年寄りや赤ちゃん、子どもでは、皮膚の水分が少なくなりがちです。とくに冬は、乾燥が原因でかゆみが増すことがあります。

アトピー性皮膚炎

乾燥して表面がひび割れ、異物を通しやすい皮膚、外敵に反応しやすい過敏な皮膚・体質を持っている人に起こる皮膚の炎症です。かくことで皮膚の状態がさらに悪くなって、治りにくくなります。

かぶれ(接触皮膚炎)

おむつかぶれ、主婦の手湿疹など、刺激物に触れることで起こります。植物、金属、食物など、日常生活のなかの刺激物の成分が皮膚表面を通過して皮膚炎を起こし、かゆみを引き起こします。

虫さされ

虫に刺されると、痛いときとかゆいときがあります。「痛み」は痛みを起こす物質が体内に入るため起こりますが、「かゆみ」は虫の分泌する液にアレルギー反応するために起こります。

水虫

水虫を起こす白癬菌や、白癬菌が作る酵素に対するアレルギー反応により、かゆくなります。

全身のかゆみ-アレルゲンやかゆみを誘発する物質が全身に分布してかゆくなる

じんましん

アレルギー反応の原因物質(アレルゲン)が皮膚の肥満細胞からヒスタミンを出させ、神経を刺激して「かゆみ」を起こします。また、ヒスタミンは血管から水分をにじみ出させるため、皮膚にみみず腫れを作ります。アレルゲンは皮膚の外からだけでなく、食物のように体内からやってくることもあります。

皮膚以外の病気(糖尿病、肝炎・肝硬変、腎透析、甲状腺機能異常、悪性リンパ腫、妊娠など)

皮膚以外に原因があって「かゆみ」が起こることもあります。人工透析やウイルス感染で中毒疹のような皮膚症状が出る場合や、脳が「かゆみ」を強く感じる薬を使っているときなど、メカニズムはいろいろです。全身の「かゆみ」は大きな病気の危険信号の場合もあるので、早めに医師・薬剤師に相談しましょう。

ここがかゆい、その原因は?

頭皮の皮脂で繁殖する癜風菌(でんぷうきん)によるフケ、毛髪に寄生したシラミ、シャンプーやリンスのすすぎ残し

眼や鼻

花粉やダニなど、ほこりのなかの異種たんぱく(アレルギーの原因物質となり、粘膜が「かゆみ」を起こす)

耳や首筋

イヤリングやネックレスなどの金属かぶれ、シャンプーやリンスのすすぎ残し、毛糸などの衣類

口の周り

トロロなど皮膚刺激性のある食品、リンゴやモモ、栗などによる口腔アレルギー症候群

わきの下

汗の成分や微生物繁殖によるあせも、ウイルスによる水いぼ

腕や手

西洋サクラソウなどの園芸植物や毛虫など、時計バンド・ブレスレット・指輪などの金属かぶれ、しもやけ、主婦湿疹(洗剤やゴム手袋でも「かゆみ」が起こる)

陰部やおしり

白癬菌やカンジダ感染、痔や微生物の繁殖と摩擦による股ずれ(間擦疹)、おむつをしているところのかぶれ

太もも

冬季の皮膚の乾燥など(乾皮症)

足首やひざ

靴下のゴムなど

水虫、しもやけなど

「かゆい」は避けるのが賢明

「かゆみ」は、かきたくなる皮膚の感覚です。その正体は、かゆいと感じることで外界から受ける刺激を避けたり、侵入した異物を追い出そうとするいわば自衛機能と考えることもできます。しかし、かゆいからといって、かきすぎるとよくありません。かくことで、原因になっている病気をさらに悪化させることがあるからです。必要以上のかゆみは、抑えるのが賢明です。

かくと起こること

激しくかけば、皮膚(角層)は傷つきます。角層に傷がつけば、皮膚は刺激を受けやすく、いろいろな物質も侵入しやすくなり、細菌感染を起こすこともあります。
また、かくと知覚神経が刺激されて、脊髄での神経反射というものが起こるため、一旦かゆくなると反射的にひとりでにかく行為が繰り返されます。
さらに、かくことが物理的な刺激となってヒスタミンをはじめとするいろいろな物質が放出され、これらが皮膚の炎症を強めることもあります。

※しかし、かいてはいけない、と言われて眼の周りをたたいて網膜が傷つき、重大事に発展した方もいます。がまんしないで医師・薬剤師に相談しましょう。

「かゆい」を避ける

敏感な肌にとって、外界は刺激に満ち満ちています。「かゆい」を避けることが「かゆい」を治す第一歩。「かゆい」に関係する刺激には次のようなものがあります。

皮膚の汚れ

自分の汗やフケ

気候や環境からの刺激

高温や乾燥、強い紫外線

物理的刺激

こすり過ぎ、チクチクする衣類など

飲食物

唐辛子やアルコールなど

動植物、鉱物や化学物質

蛾など毒をもつもの、西洋サクラソウ・アクセサリー・すすぎ残した洗剤・シャンプーなどのかぶれを起こすもの、スギ花粉やダニなどのアレルギーを起こすもの

ストレス

不安やイライラなどが「かゆみ」を増すことも

「かゆい」を治す方法

「かゆい」のもとを断つ

清潔を保つ

汗をかいたらこまめにシャワーを浴びる、シャンプーやリンス・入浴剤をよくすすぎ落とす。

適温・適湿を心がける

暖か過ぎたり乾燥したりすると、かゆみが強くなる。

刺激を避ける

紫外線の浴び過ぎやこすり洗い・チクチクする衣類を避ける、唐辛子やアルコール類の飲食物がかゆみを強くすることもあるので注意する。

かぶれやアレルギーの元との接触を避ける

誰でもかゆくなるチャドクガ(蛾の一種)やウルシ、比較的多くの人がかゆくなる西洋サクラソウなどのかぶれの原因、一部の人がかゆくなるダニ・スギ花粉などのアレルギーの原因を見つけ、それらを避ける。

ストレスを避け、発散する

不安やイライラ感などの心理状態がかゆみを増長させる。

正しく治療する

水虫、かぶれ(接触皮膚炎)、水いぼ、とびひ、虫刺され、アトピー性皮膚炎など専門医の診断のもと、それぞれに適した薬剤で治療する。

※原因が皮膚ではなく内臓疾患にある「かゆみ」もあります。「かゆみ」が長引いているときは、医師・薬剤師に相談しましょう。

「かゆい」原因、ヒスタミンを抑える

エビ・サバ・カニなどヒスタミンを出しやすい食べ物を避ける、抗ヒスタミン剤などの薬を使用する

刺激に強い皮膚をつくる

毎日のスキンケアで刺激に強い皮膚を作ることも大切です。正しいスキンケアのことなら、ぜひ相談できるくすりの専門薬局 おき薬局にご相談ください。