体の疲れと活性酸素

乳酸は老廃物であり、疲労の原因物質であると長い間考えられてきましたが、実は老廃物でも疲労の原因でもないことが近年わかってきました。実は疲労の原因は活性酸素だったのです。
活性酸素は、体内に適量ある場合は、細菌を退治するといった良い働きをしています。しかし、過労やストレスによってその量が過剰になると、体の細胞を傷つけてしまいます。すると細胞の働きが低下し、筋肉の動きが悪くなったり、エネルギーが作られにくくなったりします。このとき体は「だるい」「重い」と感じるようになり、このような状態のことを「疲労」といいます。

体内の活性酸素を消すと疲れがとれて元気が出る

活性酸素を消す2つの方法

活性酸素を消す方法の1つ目は、活性酸素を消す酵素の働きを高めること。そしてもう1つが、活性酸素を消す作用を持つ栄養素「抗酸化物質」を体に取り入れることです。
活性酸素は、SODやGSH-Pxという、活性酸素を消す酵素によって安全な水へと作り変えられます。このSODやGSH-Pxが働くためには、ミネラルの亜鉛・銅・セレンが必要不可欠。これらのミネラルが不足するとSODやGSH-Pxの働きが低下し、消しきれない活性酸素が細胞を傷つけ、疲労が起こります。
また、活性酸素は抗酸化物質によっても消すことができますので、亜鉛・銅・セレンなどのミネラルとともに日々の食事の中で積極的に摂取したいものです。

「疲れ」は生み出されるエネルギーが不足した状態

私たちは体内で生み出されるエネルギーが不足すると疲れを感じるようになります。では、なぜ生み出されるエネルギーが不足するのでしょうか。それは、活性酸素がエネルギーを生み出す酵素の働きを邪魔するからです。
たとえば原油を燃料として使うためには、灯油やガソリンにまで精製しなければなりません。これと同じように、食事から得られたブドウ糖は、ATPと呼ばれる燃えやすい高エネルギー物質にまで精製されてはじめて、体内で使えるエネルギーとなります。そしてブドウ糖がATPに精製されるまでには、いろいろな酵素が関与しています。
ところで、体内でエネルギーが生産される過程では、同時に活性酸素も発生していますが、この活性酸素が過剰になると、エネルギーを作る酵素を傷つけてしまいます。そしてこれらの酵素の働きが悪くなると、作られるエネルギーも減少し、活力が出ない疲れた状態になってしまうのです。
エネルギー(ATP)は、細胞の中にあるミトコンドリアという精製工場で作られますが、このときに生産されるエネルギーが多いほど、多くの活性酸素が発生しています。
この過剰な活性酸素は、エネルギーを作る酵素を傷つけてエネルギー不足を生じさせる、筋肉細胞を傷つけて体の動きを鈍くさせる、タンパク質合成能力を低下させて体力の回復を妨げるなど、多くの機能低下を引き起こします。この機能低下が「疲れる」ということなのです。

活性酸素から酵素を守る栄養素

ミネラルは、活性酸素を消す酵素であるSODとGSH-Pxが働くために必要不可欠です。また、抗酸化物質は活性酸素を直接退治します。このミネラルと抗酸化物質、2つの栄養素は、エネルギーを作る酵素を活性酸素から守っています。
しかし、過労やストレスで活性酸素が過剰になるとSODやGSH-Pxは活性酸素の攻撃から酵素を守りきることができません。その結果、エネルギーを作る酵素は傷つき、作られるエネルギーも減少してしまいます。

亜鉛・銅・セレンはSODやGSH-Pxを増やす

酵素を動かすエンジンである亜鉛・銅・セレンを摂取するとSODやGSH-Pxの数が増えます。さらに、抗酸化物質を摂取すると活性酸素を消す力がさらに強まります。
そして増加したSOD・GSH-Pxと抗酸化物質の活躍によって過剰な活性酸素は減少し、エネルギーを作る酵素がしっかりと働ける環境が整うことで、エネルギーをたくさん作ることができるようになるのです。

アンモニアは強い疲労感を生じさせる

皮膚や肝臓などの体の組織は、アミノ酸が鎖のように連なったタンパク質でできています。
タンパク質は自身の役目を果たし終えると、分解されてアンモニアになります。アンモニアは毒性の高い老廃物ですから、私たちに強い疲労感を感じさせ、顔色も悪くさせますが、体内にあるアンモニア分解酵素OCTによって、肝臓で毒性の低い尿素に分解されます。そして、尿素が尿中に排泄されることで、強い疲労感はなくなります。

アンモニアを分解するために必要な亜鉛

亜鉛はアンモニアを分解する酵素OCTを動かしている大切な栄養素。亜鉛が不足すると血液中のアンモニア濃度が上昇し、強い疲労感を生じます。
肝疾患の方は亜鉛不足に陥りやすいため血中亜鉛濃度が低く、また、血中アンモニア濃度が高いことが報告されています。健常人では血中アンモニア濃度が一日中高いことはありませんが、一日の疲れがたまり、深夜に顔色がすっきりしない時などは、一時的に血中アンモニア濃度が高くなっている可能性があります。また、亜鉛不足の方は、この疲れが顕著に出る場合が多いようです。
日常的に亜鉛補給をし、老廃物を速やかに排泄する力をつけておくことが、疲労をためずに快適な生活を送るためのポイントといえるでしょう。

亜鉛不足の日本人

体の疲れをとるためには、ミネラル・ビタミンを補給して脳や肝臓などの酵素を元気づけ、活性酸素やアンモニアを速やかに分解することが大切です。
ところが現代人は、ミネラル・ビタミンが不足する傾向にあり、精神的ストレス、アルコールの過剰摂取などで体内の亜鉛やセレンといったミネラルが多く尿中に排泄されています。
日本人のミネラル摂取量は亜鉛を例にすると、1日の必要量に対して男性で76%、女性で82%程度。疲れに強くなるために、亜鉛などのミネラルやビタミンを日頃からしっかりと摂取しておきたいものです。

細胞の奥深くの活性酸素を消すことが疲れをとるポイント

細胞の中にあるミトコンドリアでは、エネルギー(ATP)産生とともに活性酸素も発生しています。したがって、ミトコンドリアで発生する活性酸素を消すことが疲れをとるポイントになります。
しかし、ミトコンドリアは細胞の奥深くにあり、摂取した抗酸化物質のすべてがミトコンドリアまで簡単に到達できるわけではありません。細胞の奥深くまで入り込み、ミトコンドリアまでたどり着くためには、水にも油にも溶ける性質を持っている必要があるのです。

水に溶けて油に溶けない(水溶性)

抗酸化物質として知られるビタミンCは、水溶性のため水成分の多い血液中にはよく溶けますが、油成分の多い細胞膜ではじかれて、なかなか細胞の中へ入ることができません。水溶性の抗酸化物質が細胞の奥深くにあるミトコンドリアへたどり着くのは、とても困難です。

油に溶けて水に溶けない(脂溶性)

同じく抗酸化物質のビタミンEは脂溶性。油成分の多い細胞膜に入り込み、細胞膜中の活性酸素を消すことができます。しかし、油であるビタミンEは、水成分の多い細胞の中へはなかなか入り込めません。脂溶性の抗酸化物質でも、細胞の奥深くのミトコンドリアへの到達は難しいのです。

水にも油にも溶け、細胞の奥深くの活性酸素を消す両親媒性の抗酸化物質

油成分の多い細胞膜にも、水成分の多い細胞の中へも入ることができる抗酸化物質は、細胞の奥深くまで入り込み、ミトコンドリアの中の活性酸素を効率よく消すことができます。このように水にも油にも溶ける抗酸化物質を両親媒性の抗酸化物質といいますが、自然界にはなかなか存在するものではありません。

カキ肉から発見された両親媒性の抗酸化物質

(株)渡辺オイスター研究所と北海道大学との共同研究で、カキ肉の抽出エキスから両親媒性の抗酸化物質が発見され、CG7と名づけられました。
しかもCG7が活性酸素を消す力は、ビタミンCやビタミンEの2.4倍もあることが判明。この抗酸化物質はすでに国内外で特許申請を終え、世界的に権威のある科学論文であるJournal of Agricultural and Food Chemistry(2012)やFood Chemistry(2012)にも発表されたことから、注目を集めています。