よくわかる-自然治癒力・免疫力-

私たちはよく日常の中で「免疫力」とか「免疫力が落ちて…」といった言葉を耳にします。この「免疫力」とは、病気が発病する前にその病気を防いだり、病気になってしまった体を元通りの元気な体に戻す不思議な力のことで、「自然治癒力」とも呼ばれます。
現代にはさまざまな病気がありますが、その多くは私たちがもともと持っている免疫の力で治すことができます。そのためには、生活の中で免疫力の低下を防ぎ、高めていくことが重要です。つまり、自然治癒力を高めることが、健康で病気にならない体をつくる秘訣なのです。

免疫力の低下と病気

免疫力(自然治癒力)の低下で起こる病気の原因は大きく分けて4つあります。

4つの原因とそれに伴う病気や症状

  1. 体力の低下…かぜ、花粉症、ヘルペス、膀胱炎など
  2. からだの歪み…リウマチ、ガン、自律神経失調症など
  3. 腸内環境の悪化…ガン、アトピー、花粉症、食物アレルギーなど
  4. 老化…ガン、肺炎、せきや微熱が続くなど

一言に免疫力を上げるといっても病気により原因は様々です。自分の免疫力の低下がどういった原因かを理解することが、免疫力アップの第一歩です。

免疫力の低下の原因1「体力の低下」

攻撃力は体力アップで

「体が丈夫な人」「体が弱い人」などとよく耳にします。これは「体力のある人」「体力のない人」と言い換えることもできます。
しかしながら、体が丈夫でもかぜをひくことがあります。これは栄養不足や過労などで体力が低下して、免疫細胞の攻撃力が低下するために、かぜのウイルスが体内に入りやすくなるためです。そして日頃から体が弱い人は、常にかぜのウイルスに冒されやすくなっているということです。ですから、ウイルスや細菌に負けない体力をつくっておくことが免疫力(自然治癒力)を高めることになるのです。

こんな病気も体力の低下が原因

帯状疱疹

ヘルペスとも言われます。体内に潜んでいる子供の頃に感染した水疱瘡のウイルスが原因で起こり、体力が低下したときに刺すような痛みを伴う小水疱となって皮膚にあらわれます。

膀胱炎

便などに含まれる大腸菌などが尿道を通って膀胱で繁殖するために起こる炎症です。体力が低下すると大腸菌などに対する攻撃力が低下することが原因です。女性に多く、冬に発生しやすい病気です。

免疫力の低下の原因2「からだの歪み」

免疫の正常な働きを保つために

ストレスや不規則な生活だけでなく「一度大きな病気をしたことがある」「病気が長引いている」など、体に大きな負担をかけると体本来の正常な働きが崩れます。「病気がちになる」というのはストレスや過去の病気などの負担が体にかかって、次々に体の正常な働きが崩れた状態なのです。
当然、免疫力も歪みが生じるため、正常な働きができなくなり、自分自身に向かって免疫細胞が攻撃するリウマチなどの自己免疫疾患やガン細胞を見分ける力の低下によってガンの発生も招きます。

こんな病気も体の歪みが原因

リウマチ

通常は自分の関節は体の一部ですから、もちろん味方です。しかし、免疫力の働きが乱れると味方である関節部分を敵と思い込んで攻撃してしまい、関節に炎症を起こします。ひどくなると痛みだけでなく関節の変形が起こります。
手や足の指の関節が赤く腫れて痛むリウマチは20~40歳の女性に発病することが多く、体の左右対称に症状があらわれるのが特徴です。

ガン

人間には1日数千個のガン細胞が生まれるといわれていますが、免疫力が高い状態であればそれらを見分けて死滅させることができますので、簡単にガンになることはありません。しかし、体が歪んで免疫力が低下すると、このガン細胞を見分ける力が低下して攻撃力が弱くなってしまいます。ガン細胞はもともと自分の正常な細胞が変化したものですので、なおさら見分けることが難しいのです。体の歪みを整え、この見分ける力を高めれば、ガンへの攻撃がより的確にできるようになります。

免疫力の低下の原因3「腸内環境の悪化」

腸が免疫の決め手

腸は様々な食物から栄養を吸収する大切な器官ですが、反面、食物についた細菌やアレルギー物質などにも触れることの多い器官です。そのため腸には体の3分の1の免疫細胞が集まり、ひとつの大きな免疫システムを作っています。この腸の免疫システムは全身の免疫系をコントロールする司令塔の役割をしています。
この腸の免疫システムが崩れてしまうと、免疫のコントロールができなくなり、食物アレルギーのような本来起こらない過剰反応が起こったり、逆に全身の免疫系が低下して感染症やガンにかかりやすくなります。そして腸の免疫システムが崩れる最大の原因は、腸内環境の悪化です。

キレイな腸は病気知らず

腸には100種類、100兆個もの腸内細菌が住みついています。その中には善玉菌といわれる有用菌と、悪玉菌といわれる体に害を及ぼす菌があります。腸内の環境はこれらのバランスにより保たれていますが、食生活の偏りや乱れなどによって悪玉菌が優勢になり腸内環境が悪化すると、下痢や便秘といった症状だけでなく、腸の免疫システムの崩壊につながります。

免疫力の低下の原因4「老化」

免疫力も歳とともに低下する

免疫力は10代をピークに働きが弱ってしまい、60歳代では赤ちゃんのときの免疫力ぐらいまで低下してしまいます。そのため若い人に比べて高齢者では同じかぜでも悪化して肺炎まで発病してしまうことがあります。 また、老化が進むとガンをはじめとした病気になりやすいのは、それだけ体を守る防御力が低下している証拠です。この「免疫力=防御力」の低下の原因となる老化を遅らせることがとても重要です。

肺炎

肺炎は「かぜ」や「口腔内にある細菌が肺の中に入り込んで炎症を起こす」ことなどが原因で起こります。「免疫力=防御力」の低い高齢者に多くみられ、高齢者の死亡原因の上位に入っています。
日頃から咳が続いている高齢者は特に注意が必要で、呼吸が浅く速かったり、微熱が続いているかを確かめ、重症になる前に早期発見を心がけましょう。

病気が治りにくい

多くの病気には免疫が関与しています。免疫は炎症や感染など、体の中の見えないところで働いていますが、この免疫が低下すると炎症が続いたり、病気自体がなかなか良くならないときがあります。
高齢者に多くみられる「病気が治りにくい」という場合には体を守る「免疫力=防御力」を上げてみることも大切な方法です。

こんなところでも働いている免疫~「肝臓」~

これまで肝臓は免疫臓器としてあまり注目されてきませんでしたが、近年の研究によって肝臓は免疫の主要な臓器であることが解明されてきました。
肝臓は「人体の化学工場」ともいわれるほど、さまざまな働きをしています。体に必要な栄養素の加工やアルコールの分解などはよく知られた働きですが、肝臓は異物の処理という重要な働きも担っています。肝臓にはクッパー細胞という肝臓の免疫細胞が配備されていて、肝臓に運ばれる異物を食べて処理しているのです。 また、肝臓の免疫細胞は異常な自己細胞(ウイルスに感染した細胞やガン細胞など)を処理するパトロール軍団で、病気の予防に大切な働きをしています。

あなたの免疫力チェック

次の項目で当てはまるものがいくつありますか?

かぜをひきやすく、なかなか治らない
花粉症やアトピーなどアレルギーがある
疲れやすくなった
便秘、下痢を繰り返す
栄養の偏りがある
60歳以上である
病気が治りにくい
ストレスが多い
運動不足である
生活が不規則である

0~1個…今の生活を維持し、しっかりと免疫力を保ちましょう。
2~4個…免疫力が弱っています。症状があれば今のうちに原因を見つけましょう。
5~7個…今のうちに免疫力を高めておかないと、大きな病気につながってしまいます。
8~10個…免疫力が低下しています。至急、免疫の回復を!

私たちの日常生活そのものを見直すことで、低下した免疫力をアップさせ、よい状態を維持することが可能です。免疫力=自然治癒力は人間の生体リズムに依存する場合が多く、睡眠や食事、適度な運動、ストレスの解消など、普段の生活を改めることで、大きく改善できるものなのです。