知っておきたい-ミネラルの働きと欠乏症、ミネラルを含む食品-

私たちの体を物質として見た場合、ほぼ60%が水分で、約35%がたんぱく質・脂質・糖質といった有機質であり、ミネラル類は約5%を占めているだけです。
そしてミネラル類のうちのほぼ半分は骨の主成分であるカルシウムであり、他の元素は極めて微量なのですが、体内で起こるあらゆる生理反応に触媒として作用する体内酵素などを構成する不可欠な栄養素となっています。
ここでは主なミネラルの働きと、不足した時に起こる症状などについてご説明します。

ミネラルとは

体を作る栄養素として欠かすことができない元素を総称してミネラルと呼びます。骨や歯の形成、心臓・血液などの身体機能を維持・調節するために必要で、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなどが代表的なミネラルです。

各ミネラルの働きと欠乏症、ミネラルを含む食品

カルシウム

歯や骨を作るほか、筋肉を収縮させ、心臓を正しく働かせます。また、神経細胞を守ったり、血液の凝固を促したりもします。体内の水分量調節にも関与しています。

不足すると…

爪がもろくなったり、骨折しやすくなったりします。また、骨軟化症、骨粗鬆症、歯の発育不良、小児の発育不順、くる病、足のつり、けいれん、動悸、不眠症、神経症、関節痛、皮膚病、高血圧など、多くの不調に関わっています。

カルシウムを摂るなら…

牛乳、干しひじきなど

マグネシウム

骨や肝臓、筋肉に必要なミネラルで、細胞内の浸透圧や体内の酸・アルカリのバランス、体温を調節しています。ビタミンA、B、C、D、Eやカルシウムの吸収に必要で、精神を和らげたり皮膚をきれいにする働きもあります。

不足すると…

発育不全、衰弱、極度の過敏症、筋肉のこり・けいれん、ひきつけ、狭心症、心筋梗塞、腎不全などに関与しているほか、音に対して過敏になったり、顔色がわるくなるなどの症状が出ることもあります。

マグネシウムを摂るなら…

そば、乾燥わかめなど

カリウム

細胞内の機能を高めるミネラルで、電解質や血液中の酸・アルカリのバランスもとっています。神経や刺激の伝達がスムーズになるように働き、心臓のリズムの調整にも関与しています。

不足すると…

神経組織を異常興奮させたり、筋肉の収縮・弛緩の調整がうまくいかなくなって疲れやすくなったりします。また、腸のぜん動運動が妨げられて便秘を起こしやすくなるほか、浮腫や心臓発作も起こりやすくなります。

カリウムを摂るなら…

こんぶ、バナナなど

赤血球と血中酸素を運搬する働きがあるほか、多くの酵素を形成します。

不足すると…

貧血症が起こります。また、皮膚が蒼白色になって息切れを起こしたり、疲れやすくなる、物忘れが多くなるなどの症状が出ることもあります。

鉄を摂るなら…

干しひじき、レバーなど

鉄とともに血液中の赤血球をつくります。また、リボ核酸や骨、脳、神経、結合組織、色素などを生成するのに必要なほか、多くの酵素も形成します。

不足すると…

貧血症、骨格不全、抜け毛、白髪化、発疹、心臓障害、動脈硬化、ウイルス性肝炎、甲状腺機能低下など、多くの症状に関与しています。

銅を摂るなら…

たこ、くるみなど

亜鉛

肝臓、骨、表皮、血液、膵臓、腎臓、下垂体などに存在し、たんぱく質を合成します。また、血中コレステロールの量を調節するとともに、インスリンの成分にもなるほか、傷口を治す働きもあります。

不足すると…

味覚障害、発育不全、前立腺異常、感染症に対する抵抗力低下、乾唇が起きやすくなります。また、腸の消化吸収機能が低下するほか、傷口の治りが遅れたり、円形脱毛症、痛風、白血病、動脈硬化、ガン、心筋梗塞などの病気を誘発したりします。

亜鉛を摂るなら…

牡蠣、牛肉など

マンガン

炭水化物、たんぱく質、脂肪を消化吸収する役割を持つ酵素が正しく機能するために重要な働きをしているミネラルで、骨、神経などを強くし、下垂体の機能を高める働きもあります。また、血液を生成したり、ビタミンB複合体の一つであるコリンを生成するためにも必要です。

不足すると…

血糖値が上がるとともに、血中脂肪酸の量が増えて動脈硬化を引き起こします。また、発育不全、骨の退化、平衡感覚不全、紅斑病、重症の筋無力症なども起こります。

マンガンを摂るなら…

栗、れんこんなど

クロム

酵素やホルモンを合成するとともに、それらの量を調整しています。また、糖や脂肪の代謝にも関与しています。

不足すると…

糖尿病のような症状が起こったり、逆に低血糖症になったりします。また、体重減少、血中コレステロール増加、白内障を引き起こすこともあります。

クロムを摂るなら…

ココア、あさりなど

ヨウ素

甲状腺ホルモンを作り、新陳代謝の速さを調整するほか、副腎の代謝機能にも関与しています。

不足すると…

貧血、低血圧、遅脈が起こるほか、何事にも感動せず元気がなくなったりもします。また、乳ガンを誘発しやすくなります。

ヨウ素を摂るなら…

乾燥わかめ、ブリなど

モリブデン

骨、皮膚、肝臓、腎臓に多く分布しており、尿酸の生成、造血作用、体内の銅の排泄などに関与しています。

不足すると…

不足することはほとんどありませんが、頻脈、頻呼吸、頭痛、悪心、嘔吐のほか、昏睡の症状が見られることもあります。

モリブデンを摂るなら…

ごま、豆腐など

セレン

ビタミンEの機能を助け、組織の被膜を保護する働きがあります。また、心臓や血管にも作用し、心筋梗塞や高血圧の予防・治療にも役立ちます。さらに、視力回復や皮膚病の治療にも使われます。

不足すると…

肝細胞の壊死、筋肉の退化、血中コレステロール増加、不妊症、神経衰弱などが起こります。

セレンを摂るなら…

マグロ、ほたてなど

コバルト

ビタミンB12の構成元素で、骨髄での造血に不可欠なミネラルです。また、赤血球・血色素の生成を促す働きもあります。

不足すると…

立ちくらみが起こったり顔面蒼白になるなど、貧血傾向になります。

コバルトを摂るなら…

干しわらび、青のりなど

ナトリウム

血液や細胞間液といった、細胞外の体液中に存在していて、それらの濃度を調整する働きがあります。

不足すると…

消化液の分泌が低下して食欲不振が起こります。また、大量に発汗したり、全身的にだるくなったりするほか、めまいや嘔吐もみられます。

ナトリウムを摂るなら…

塩、その他しょっぱいものなど(摂りすぎに注意)

リン

血液中の酸・アルカリを中和して糖質代謝をスムーズにします。また、体内のカルシウムバランスを保つ働きもあります。

不足すると…

食品中に十分含まれていることから不足することはあまりありませんが、ビタミンDが不足することでリンの利用率が悪くなるので注意が必要です。

リンを摂るなら…

しらす干し、プロセスチーズなど

ミネラルの不足と身体の不調

病気の際に不足するミネラルを簡単な表にまとめたものです。オレンジの矢印が特に不足が見られるミネラル、灰色の矢印が不足がちなミネラルです。
ミネラルは下の表に挙げたもののほかに、ナトリウム、リン、イオウ、塩素、フッ素、ニッケル、バナジウム、リチウム、ケイ素などがありますが、病気の際には全般的な不足が見られます。
また、現代人の食生活では、ナトリウム、リンは過食しがちです。カリウム、カルシウム、亜鉛の補助が欠かせません。