もの忘れと活性酸素

年をとるごとに、もの忘れは増えてくる傾向があります。しかし、それが年相応なのか病的なものなのかを判断するのは簡単ではありません。現在、認知機能障害が出始めている段階の方は、日本全国でおよそ400万人、65歳以上の8人に1人といわれています。
加齢とともにもの忘れが増えるのは当然ですが、「何にも興味が出てこない」「ガスの火を消し忘れるようになった」など認知機能の低下による症状には要注意。早めの段階で予防したいものです。

アルツハイマー病の原因

アルツハイマー病予防のポイントは脳内のミトコンドリアの過剰な活性酸素を消去すること

ミトコンドリアは細胞の中にあり、酸素とブドウ糖から生命活動に必要なエネルギーを取り出す役目を担っています。脳は、脳細胞内にあるミトコンドリアで多量のエネルギーを作りますが、このとき、副産物として多くの活性酸素が発生します。この活性酸素は、脳内で栄養素を運ぶ管を詰まらせ、管の通りを悪くします。すると脳の隅々まで栄養が届かなくなり、脳細胞が死滅して「もの忘れ」や「何にも興味が出ない」といった症状が生じます。脳内のミトコンドリアから発生する過剰な活性酸素が、実はアルツハイマー病を引き起こす主な原因なのです。

過剰な活性酸素は、脳内のアミロイドβタンパクを増加させる

アミロイドβタンパクは健康な人でも脳の中で普通に作られているタンパク質ですが、通常はネプリライシンなどの酵素によって脳内で分解されています。
しかし、ミトコンドリアで過剰に活性酸素が作られると、アミロイドβタンパクを分解する酵素が壊されて数が減ってしまい、アミロイドβタンパクが脳内にたまってしまうようになります。
また、アミロイドβタンパクは、日常的に脳の中から血管へと排出されていますが、活性酸素が過剰になると、この排出口が壊されてアミロイドβタンパクの排出が妨げられてしまいます。
アミロイドβタンパクは、脳内でバラバラになっている状態だと悪さをしませんが、ミトコンドリアで過剰に作られた活性酸素がバラバラのアミロイドβタンパクを凝集させることでさらに活性酸素を発生させ、神経細胞が傷ついて、最終的にアルツハイマー病が発症します。

酸化されたタウタンパクが神経細胞内の微小管を詰まらせる

タウタンパクは、脳の神経細胞中の微小管を安定させるタンパク質ですが、過剰な活性酸素で酸化されるとトゲのような突起を持ってしまいます。
すると微小管がトゲを持ったタウタンパクにふさがれてミトコンドリアや栄養素を十分運べなくなり、神経細胞が壊されてアルツハイマー病の原因になるのです。

カキ肉から発見された脳内の活性酸素を減少させる抗酸化物質

(株)渡辺オイスター研究所と北海道大学がカキ肉から発見した新規の抗酸化物質CG7は、(株)渡辺オイスター研究所と筑波大学の共同研究で、脳内に入るための厳しい関所である血液脳関門を通り抜けて脳内に到達することが確認されました。さらにこのCG7が、脳内のミトコンドリアと脂肪の酸化を防ぐことがわかったことから、今後アルツハイマー病に対する機能研究が進むことが期待されています。

糖尿病の方はアルツハイマー病の発症リスクが2.1倍

福岡県の久山町が行った研究で、糖尿病の患者さんがアルツハイマー病になるリスクが、そうでない方の2.1倍も高いことが報告され、2011年の老年期認知症研究会誌に掲載されました。
その理由として、脳内でアミロイドβタンパクの蓄積やタウタンパクの酸化を抑制して神経細胞を保護してくれるインスリンの働きが、糖尿病の方では低下している、ということが挙げられます。
また、糖尿病では脳内に活性酸素が異常に多量発生し、トゲを持ったタウタンパクを増加させ、脳細胞へ栄養を運ぶ管の通りを悪くして脳の神経細胞が壊れ、アルツハイマー病が発症します。
糖尿病でも血糖コントロールをされている方は、活性酸素の発生量をある程度抑えることができます。そして血糖コントロールとともに、脳内の過剰な活性酸素を消去する抗酸化物質を摂取することが、血管と脳を守ることにつながるのです。

ミネラルと抗酸化物質の摂取で活性酸素消去

2型糖尿病の方がミネラル・抗酸化物質の豊富なカキ肉を摂取したところ、全身の活性酸素は明らかに減少しました。また、マウスを用いた試験により、ミネラル・抗酸化物質の摂取で脂肪の酸化も防ぐことがわかりました。
さらに2015年の日本未病システム学会における発表によると、脳内に過剰な活性酸素が発生している糖尿病モデルマウスにミネラル・抗酸化物質の豊富なカキ肉を摂取させたところ、脳内のミトコンドリアと核にある活性酸素が減少し、脳内にたくさんある脂肪の酸化も防ぐことが確認されました。
ミトコンドリア内の活性酸素を減少させることで、アミロイドβタンパクの脳から血管への排出をスムーズにし、脳内でのアミロイドβタンパクの増加を抑え、さらにタウタンパクが突起を持つことを防ぐことができるのです。

不眠・睡眠不足はアルツハイマー病を引き起こすひとつの要因

脳内のアミロイドβタンパクは睡眠中に減っていくため、睡眠時間が短いと十分にアミロイドβタンパクを減らすことができず、その結果、アミロイドβタンパク濃度が高くなってしまいます。アミロイドβタンパクを減らすためには十分な睡眠が不可欠。不眠・睡眠不足はアルツハイマー病の引き金となる可能性がありますので、質のよい睡眠をしっかりとりたいものです。

過剰な活性酸素を消去して良い眠りを得る

一日起きていると人の体の中には活性酸素がたまります。そして過剰な活性酸素が脳にたまると、眠るための信号の伝達が滞り、良い眠りが得られなくなります。脳の中の過剰な活性酸素を消すことも、良い眠りを得るためのポイントなのです。