積極的に早く治す-筋肉痛-

インドアスポーツだけでなく、海や山などのアウトドアスポーツの機会も増える夏。体を動かしているときは楽しくても、翌日あるいは翌々日に襲ってくる筋肉痛はつらいものです。筋肉痛を防ぐには、まず筋肉を理解することが大切。また、筋肉痛になってしまったときに症状を軽減する方法も知っておきましょう。

鍛えられる筋肉と鍛えられない筋肉

高齢化が急速に進む日本。その中で近年問題になっているのが、骨や筋肉、関節といった運動器の不調から要介護につながりやすいロコモティブシンドロームと、加齢に伴って筋肉量や筋力が衰えるサルコペニアです。これらの症状は高齢者に多くみられますが、便利な時代に生きる現代人は運動不足の傾向があるため、若いうちから注意が必要です。
私たちは日頃からあらゆる動作において筋肉を使っていますが、「この部位の筋肉を動かそう」というように意識することはありません。そこでまずは私たちの体にはどのような種類の筋肉があるか理解しましょう。
筋肉には骨格筋、心筋、平滑筋の3種類があります。骨格筋は体を動かすための筋肉で、手足の筋肉などがこれにあたり、運動などによって増やすことができます。自分の意思で動かすことができるので随意筋と呼ばれ、一般的に「筋肉」という場合は骨格筋を指すことが多いです。
心筋は文字通り心臓の筋肉、平滑筋は胃や腸など心臓以外の内臓壁にある筋肉のことで、鍛えて増やすことができません。また、自分の意思で動かすこともできませんので「不随意筋」と呼ばれています。

骨格筋を鍛える

私たちは骨格筋の動きを通して、さまざまな動きをすることができますが、この骨格筋は2種類の筋繊維からできています。
ひとつは収縮速度が速くて瞬発力の源になる速筋、そしてもうひとつは収縮速度は遅いものの持続的に力を発揮する遅筋です。これら2つの筋肉により、私たちは瞬間的に大きな力を出したり、持久力が必要な運動ができたりするのです。
そして骨格筋はほかにも関節を安定させて姿勢を保つ、外的衝撃から内臓や血管などを保護する、収縮によって血流をサポートしたり体温を維持するための熱源になる、脂肪を運動エネルギーとして消費して糖や脂質の代謝を一定に保つ、といった役割を担っています。
筋肉全体に占める骨格筋の割合はおよそ40%ですが、骨格筋を鍛えることは身体のさまざまな機能を維持するために大変有効です。筋肉痛対策を知り、無理なく鍛えていきましょう。

筋肉痛が起こるしくみ

筋肉痛は運動が引き起こす筋肉の痛みで、一般的には運動の翌日以降に症状が出る「遅発性筋痛」のことを筋肉痛といっています。
筋肉痛には運動時間の長さや筋肉にかかる負荷に対しての耐久性が関係しており、筋肉に長時間の運動に耐えられる耐久性がない場合や、いつもよりも大きい負荷を筋肉にかけるような運動をした場合に発症します。
まず運動によって筋肉に負荷がかかることで筋繊維が損傷を受け、その部分が炎症を起こして痛みが発生。そして痛みがなくなると筋繊維は損傷前より少し太くなります。したがって定期的に軽度の筋肉痛を生じる運動によって筋肉が少しずつ鍛えられて耐久性も増しますが、必ずしも無理をする必要はなく、筋肉は痛みを生じない程度の運動でも、刺激を与えることで鍛えることができます。
そしてこれはあまり知られていませんが、筋肉の痛みが起こるもうひとつの原因が脱水による筋肉内の循環不全です。運動をすると汗をかくことで体内の水分が減り、血流も滞ります。この血流の滞りが酸素不足や代謝産物の滞留を招き、負荷部分が凝ったように硬くなって痛みを生じます。したがって、運動前、運動中ともにこまめに水分補給をすることで筋肉痛の発症をある程度防ぐことができるのです。

筋肉痛前後のケア

運動前

運動前は体が重くなるからと十分な食事を摂らない方もいます。もちろん食べ過ぎは避けなければいけませんが、活動に必要なエネルギーはしっかりと蓄えておくべきです。摂取すべき栄養素としてはエネルギーのもとになる炭水化物、筋肉の働きをよくするアミノ酸のほかに、カルシウムやリンなどのミネラルも必要です。何も食べなかったり、水分を控えたりすることは、筋肉にとってはよくありません。
たんぱく質は筋肉をつくるための大切な成分であるとともに、筋肉のエネルギー源にもなる栄養素です。たんぱく質を豊富に含む肉や魚、卵、乳製品や豆類を炭水化物や野菜と組み合わせ、バランスよく摂取しましょう。

運動中

筋肉痛の原因のひとつである循環不全を避けるためには、水分補給をしっかりしなければなりません。余分になった水分は排出されますので、摂り過ぎを心配するよりも不足しないように注意しましょう。
のどが渇いたと感じた時点で既に体は水分不足の状態。特に熱中症が増加する夏場は要注意です。体にしっかり水分を行き渡らせるためには、一度にたくさん飲むのではなく、少量をこまめに飲むのが効果的だといわれています。
汗をかくと水分とともに体内のミネラルも失われるため、水道水よりもミネラルウォーターやスポーツドリンク、ビタミン類も同時に摂取できるものなどがおすすめです。ただし、スポーツドリンクなどは糖分が多いものもあるため、飲みすぎには注意しましょう。
アウトドアではトイレを気にして水分補給を控えてしまいがちですが、筋肉痛を軽減するためにも、熱中症を避けるためにも、こまめに水分補給してください。

運動後

運動によって筋肉が疲労すると血流が滞り、酸素や栄養分をスムーズに運ぶことができなくなります。運動後は使った筋肉を軽くもみほぐして、血液やリンパ液の流れを回復してあげましょう。体が温まっている入浴中や入浴後に行うのが効果的です。ただし、あまり強くもみすぎると筋肉を傷めてしまうため、注意が必要です。
運動で損傷した筋肉を修復する成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。筋肉の疲れを回復させるためにも、運動した日の夜は質の高い睡眠を心がけたいものです。そのためには自分に合った寝具選びも大切。翌日に疲れが残りやすい場合は枕や寝具を見直してみてはどうでしょうか。
普段から体を動かすようにしていても、過度な運動や慣れない動きをしたときには、どうしても筋肉痛になってしまうものです。しかし痛みが多少あったとしても、痛い部分の血液循環を良くして治りを早めるにはウォーキング程度の軽い運動はしたほうがよいでしょう。痛みを緩和するためのシップ薬やスプレー剤などを使用するのもおすすめです。ただし、安静にしていても痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。