糖尿病と活性酸素

健常者の約20%が悩んでいるといわれている不眠ですが、実は糖尿病の方は約40%の方が睡眠障害であるということがわかっています。
糖尿病の方は、のどの渇きや夜間頻尿のために夜中に起きてしまい、その後なかなか眠れないようです。すると眠れないことがストレスとなり、コルチゾールというホルモンが過剰に分泌されます。このコルチゾールは血糖値を上昇させる作用があるため、糖尿病はさらに悪化し、不眠と血糖値上昇の悪循環が繰り返されてしまうのです。

抗ストレスミネラルの亜鉛でストレスに強くなる

ストレス社会に生きる現代人は、職場や学校の人間関係、仕事や家事などで、さまざまなストレスにさらされています。これらのストレスを受けたときにミネラルの亜鉛が不足していると、ストレス過敏になり、不眠・うつ状態を誘引するホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されやすくなります。
亜鉛の一日所要量は男性で12mg、女性で9mgであるのに対し、現代人の摂取量は男性で8.7mg、女性で7.0mgとなっており、充足率は男性72.5%、女性77.8%と、不足傾向にあります。亜鉛をしっかり摂取し、ストレスに負けないように心掛けたいものです。

不眠がインスリンの働きを低下させる

糖尿病の方の約40%が悩む睡眠障害。この睡眠障害がさらに糖尿病を悪化させています。
糖尿病によって深い眠りが減少するとインスリンの働きが低下します。また、睡眠障害がある方は食後に分泌されるインスリンが追いつきません。つまり糖尿病で不眠症になると、インスリンの働きはさらに低下、分泌も不十分となり、症状が悪化してしまうのです。

質の良い眠りで糖尿病の症状を改善

不眠を改善し深い眠りを得ると、インスリンの働きが良くなり、分泌も増加します。深い眠りを得ることは糖尿病を改善する上での重要ポイントですが、睡眠薬による眠りは深い眠りが減少する質の良くない眠り。できれば自然な眠りで深い眠りを得たいものです。

自然な深い眠りは睡眠物質によって誘導される

自然な深い眠りは、プロスタグランジンD2、アデノシン、GABAなどの睡眠物質が脳内に満たされることで生じます。これらの睡眠物質はアミノ酸などを原料とし、亜鉛・セレン・ビタミンB12などのミネラル・ビタミンの働きによって脳内で作られますが、糖尿病の食事療法ではカロリーばかりに気を取られがちで、ミネラル・ビタミンの摂取が不足する傾向があります。

不眠は過食を招き、糖尿病に悪影響を与える

不眠症や睡眠不足では食欲を増すグレリンというホルモンが、不眠でない方より28%も多く分泌され、食欲が増します。さらに食欲を抑制するレプチンというホルモンの分泌が18%低下。その結果、食欲を抑えるレプチンに対する食欲を増すグレリンの比が24%も増加するため、明らかに食欲が増してしまいます。つまり、不眠が過食を招き、肥満を誘引し、糖尿病を悪化させることにつながるのです。

食後高血糖の恐怖

食後高血糖は大血管障害につながる

空腹時血糖をコントロールすることにより、糖尿病網膜症や腎症などの細小血管障害を防ぐことはできます。しかし、それだけでは心筋梗塞などの大血管障害は避けられないということが報告されています。不慮の心筋梗塞などから身を守るためには、空腹時血糖だけでなく、食後血糖を正常にすることが大切です。
心筋梗塞の発症率は、食後血糖が異常に高い群では20.9%ですが、食後血糖が良好な群では12.0%。したがって、食後血糖値を正常に近づけることが心筋梗塞などの発症の危険性を減少させることにつながるのです。

空腹時血糖値と食後血糖値

空腹時血糖値とは、文字通り空腹の状態で測定した血糖値のこと。これに対して食後血糖値(ブドウ糖負荷後2時間値)とは、絶食後にブドウ糖を食事に見立てて飲み、その2時間後に測定した血糖値のことをいいます。

血糖値に深く関与しているミネラル「セレン」

セレン不足になると、肝臓にブドウ糖を取り込む働きが弱まり、かつ肝臓でのブドウ糖の合成が進んで、肝臓からのブドウ糖の放出が増加し、血糖値が上がります。
セレンを補給することで肝臓でブドウ糖が消費されやすくなるため、血液中から肝臓へのブドウ糖取り込みが増加。同時に肝臓からのブドウ糖の放出が減少して血糖値が下がります。

血糖値が高い人は、亜鉛・セレンなどが不足ぎみ

血糖値が高い人は、糖とともに亜鉛・セレンなどが排泄されて不足する傾向にあります。また、カロリー制限に気をとられて食事量を減らすことによってミネラル不足になりやすい点にも注意が必要です。ミネラルの摂取は活性酸素を処理する酵素の働きも高めますから、日頃から亜鉛・銅・セレンなどをしっかり摂取し、活性酸素やストレスに負けない体作りをしましょう。

過剰な活性酸素が糖尿病の三大合併症を引き起こす

血糖値が高くなると過剰な活性酸素が発生することが知られています。高血糖で怖いのは、この過剰な活性酸素が血管や神経細胞を傷つけ、合併症を発症することです。

糖尿病の三大合併症

糖尿病神経障害…末梢の神経線維が障害を受け、手足のしびれ・痛み・感覚低下が起こる。
糖尿病網膜症…網膜の細い血管が障害を受け、視力の低下や失明などを引き起こす。
糖尿病腎症…腎臓の血管が障害を受け、血液のろ過機能が低下する。

人工透析を受けると大量の活性酸素が発生する

糖尿病腎症が悪化すると、腎臓の毛細血管が障害を受け、老廃物の排泄が滞るため、人工透析を受けなければ生命を保つことが難しくなります。
人工透析では、血液が透析膜を通り抜けるときに大量の活性酸素が発生します。そしてこの活性酸素が免疫を担っているNK細胞の働きを低下させて風邪などにかかりやすくなるなど、さらにいろいろな障害を体に与えることになるのです。

体に活性酸素がたまると疲れを感じる

乳酸は老廃物であり、疲労の原因物質であると長い間考えられてきましたが、本当は老廃物でも疲労物質でもないことがわかってきました。
実は、疲労の原因は活性酸素だったのです。活性酸素は、体の中に適量にある場合は、細菌を殺すなどの良い働きをします。しかし、活性酸素が高血糖やストレスにより過剰に増えると、体の細胞を傷つけるようになります。すると細胞の働きが低下して筋肉の動きが悪くなり、エネルギーが作られにくくなってしまいます。このとき体は「だるい」「重い」と感じるようになり、この状態のことを「疲労」といいます。

過剰な活性酸素の消去が合併症予防のポイント

過剰な活性酸素を処理する方法は2つあります。
ひとつは、亜鉛・銅・セレンを補給することで活性酸素を処理する酵素の数を増やすこと。もうひとつは、細胞の奥深くの活性酸素までも消去できる抗酸化物質の摂取です。

亜鉛・銅・セレンの補給

活性酸素は、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やGSH-Px(グルタチオンペルオキシダーゼ)という、活性酸素を消す酵素によって安全な水へと処理されます。
このSOD・GSH-Pxが働くためには、微量ミネラルの亜鉛・銅・セレンが必要不可欠。亜鉛・セレンなどは酵素を動かすモーターや電池の働きをしているからです。
もし亜鉛・銅・セレンが不足すると、SOD・GSH-Pxの働きは低下し、活性酸素が増えて血管などが傷つき、インスリンの分泌も悪くなります。
糖尿病の方は、亜鉛・銅・セレンなどが不足する傾向にあります。亜鉛・銅・セレンは活性酸素を処理する酵素の働きを高め、過剰な活性酸素から血管を守ることで合併症の予防になりますので、日頃から積極的に摂取するようにしましょう。ただし、たとえば亜鉛だけを過剰に摂取すると鉄の吸収が悪くなったりしますので、ミネラルはバランスよく摂取するよう心がけましょう。

細胞の奥深くまで届く抗酸化物質の摂取

過剰な活性酸素は血管を傷つけ、動脈硬化症を生じさせるばかりか、細胞の奥深くにある遺伝子情報を担うDNA、エネルギーを産生するミトコンドリア、神経なども傷つけてしまいます。
抗酸化物質として知られているビタミンCは油に溶けにくいため細胞膜に入りにくく、ビタミンEは水に溶けにくいため細胞質に入ることができません。
したがって細胞の奥深くの活性酸素を消去するためには、水にも油にも良く溶け、かつ活性酸素を消去できる物質である両親媒性の抗酸化物質が必要なのですが、(株)渡辺オイスター研究所と北海道大学の共同研究で、両親媒性の抗酸化物質がカキ肉の抽出エキスから発見され、CG7と命名されました。しかもこのCG7が活性酸素を消す力はビタミンCやビタミンEの2.4倍もあることが判明しています。
体の奥深くの過剰な活性酸素をしっかりと消去し、糖尿病から身体を守りたいものです。