身近な病気-ウイルス感染症-

21世紀は感染症の時代といわれます。インフルエンザ、肝炎ウイルス、エイズなど、どれもよく知られた病気で、今後も増加が予想されています。そして、これらのウイルス感染症は、いまだに根本的治療法がないのが現状なのです。
がんは診断技術・治療技術が急速に進歩した影響で「がん=死の病気」ではなくなりつつあります。一方、感染症は現代の医療技術でも対症療法的な治療が中心であり、最も身近なインフルエンザやかぜでさえも根本的治療薬はありません。細菌による各種感染症は抗菌薬が有効ですが、ウイルスによる感染症は対症療法を中心に自己の免疫力、つまり自分自身の力で乗り越えるしかないのです。このため抵抗力(免疫力)の弱い子どもやお年寄りにとって、ウイルス感染症はきわめて脅威的な疾患となります。
ウイルスは感染予防が第一ですが、たとえ感染しても自己の免疫力を高めておけば症状を軽くしたり、長引かせずにすむのです。

ウイルスによって引き起こされる主な病気・症状

呼吸器

鼻炎、上気道感染、下気道感染、肺炎、口内炎(※くしゃみ、鼻水、咳、息苦しさなど)

耳系

耳下腺炎、顎下腺炎、中耳炎

眼系

結膜炎、角膜炎(※目の充血、目やに、目の痛みなど)

皮膚

水疱性発疹、紅斑性発疹、手足口病(手足、口などの発疹や水ぶくれ)、ヘルパンギーナなど

泌尿器

膀胱炎、睾丸炎、前立腺炎、卵巣炎、性行為感染症など(※排尿痛、頻尿、下腹部痛など)

消化器

胃腸炎、下痢症(※胃痛、胃もたれ、吐き気、下痢など)

肝臓

肝炎、肝硬変、肝臓がん

神経系

脳炎、脳症、髄膜炎

腫瘍

白血病、子宮がん、肝臓がん

その他

慢性疲労症候群、甲状腺炎、突発性難聴、多発性硬化症、ある種の膠原病、その他多くの病気にウイルスが関与していると考えられており、現在研究が進められています。

ウイルスの流行時期

春に多いウイルス

麻疹(はしか)、水痘が流行します。特に小児がかかるウイルスですが、最近は大人になってかかる人も増えています。大人になって感染すると重症化するケースもあります。

夏に多いウイルス

エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなど「夏かぜ」を起こすウイルスが流行します。夏場にプールを通じて感染する「プール熱」の原因となります。目の充血や発熱、手足の水疱などの症状が現れます。

秋に多いウイルス

夏かぜを起こすウイルスのほか、冬に多いコロナウイルスなどが流行り始めます。「夏バテ」を起こして抵抗力が衰えていると、夏や冬に流行るウイルスに感染しやすくなります。

冬に多いウイルス

インフルエンザやかぜの原因ウイルスであるコロナウイルスやライノウイルス、RSウイルスが流行します。インフルエンザは一般のかぜと違い、急激な高熱、筋肉痛など激しい全身症状が現れるという特徴があります。肺炎、気管支炎を併発しやすいので要注意です。
激しい下痢を引き起こすノロウイルス、ロタウイルスも流行します。
年間を通じ、ウイルス感染症は疲労や睡眠不足、栄養の偏りなどで体の抵抗力が衰えているときにかかりやすくなります。日頃から規則正しい生活、バランスのとれた食事などを心掛けることが、ウイルスから体を守る第一歩です。

季節に関係なく感染するウイルス

肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス(かぜ症候群)、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)など

性行為によって感染するウイルス

単純ヘルペス(性器ウイルス)、B型・C型肝炎、HIV(エイズ)、成人T細胞白血病、パピローマウイルス(子宮がん)など

ウイルス感染の仕組み

ウイルス自身は呼吸もしないしエネルギーを作ることもありません。このためウイルスは自分自身の力だけでは生きていくことはできないのです。生きた細胞の中に巧みに侵入し、その細胞内で自己をコピーすることで増殖します。
ウイルス感染の仕組みは簡単に説明すると、次のようになります。

  1. ウイルスが細胞内に侵入(細胞に侵入する鍵を持っている)
  2. ウイルスが自らのコピーを作る準備を始める(コピー用の設計図を量産する)
  3. 設計図をもとに細胞内に大量のウイルスがコピーされる
  4. 作り出された大量のウイルスが別の細胞に次々に侵入する
感染症予防のために

ウイルスや細菌による感染症は、その原因となる病原体や感染経路がそれぞれ違うため、個々の感染症によって予防方法も異なります。しかし、感染を予防するための衛生面の工夫や、日頃から免疫力を低下させない、基礎体力を落とさないなどといったことは、多くの感染症予防に役立つ共通の予防法です。

細胞を元気づける

ウイルスに負けない体を作るには、細胞を元気づける必要があります。その基本は、規則正しい食事習慣と栄養バランスです。いろいろな栄養素を食事から過不足なく摂りましょう。たんぱく質、糖質、脂質の3大栄養素のほか、ビタミン、ミネラルも十分摂取することが大切です。
特に不可欠なのが、良質なたんぱく質です。たんぱく質は血液や各組織の材料となって体の機能を正常に保つ重要な栄養素です。体に必要な材料が不足すると、基礎体力も低下してしまいます。
「良質なたんぱく質」とは人体にとって欠かせない必須アミノ酸を多く含み、かつアミノ酸バランスが良いものです。
人間の体の組織は20種類のアミノ酸で構成されます。この20種類のアミノ酸をバランスよく摂るためには、魚、牛乳、乳製品、大豆製品などの食品から量より質を重視して摂ることが大切です。
全身の細胞に必要な栄養素を十分に行き渡らせて、ウイルスに負けない体を作りましょう。